外科的治療

外科的治療について

パーキンソン病に対する外科治療の歴史はかなり古いものです。特にLドパ製薬が開発される前にはパーキンソン病に対して外科治療が盛んに行われた時代がありました。

古典的な手術法は、パーキンソンの脳内で過剰に興奮している部分を針で特定した後に電気で凝固するという手術でした。重症な振戦、固縮、ジスキネジアに対しては、大脳の深いところに存在する視床や淡蒼球の「凝固術」が行われてきました。この方法は、誤った部位を凝固してしまうと取り返しのつかない後遺症が残る可能性があったため、かなり限られた施設でしか行われてきませんでした。

ところが、1990年代フランスのグループによって、凝固破壊術の代わりに電極を脳の深部に植え込み、電気的に慢性刺激する方法(DBS: deep brain stimulation:「脳深部刺激療法」)が開発されると、その後この方法は世界中に急速に普及しました。いわば、心臓に植え込むペースメーカーを頭に植え込むようなものです。

DBS の長所は、一度で両側への植え込みが可能なこと、植え込み後に症状に合わせて電気刺激条件を変更し調整が容易なことなどです。短所としては、異物を体内に残したままになること、電池の交換が5-7年で必要になることです。

DBS電極の植え込み先や凝固する部位は、治療の対象となる症状によって異なってきます。

淡蒼球内節を標的に凝固術もしくはDBSを行った場合、対側のジスキネジアが改善することが期待されます。

視床下核を標的としたDBSは、淡蒼球を標的にした場合に比べて技術的により精密さが要求されますが、そのパーキンソン症状の改善効果はしばしば絶大(特に両側に施行した場合に)です。特に両側の視床下核にDBSを施行した場合には、オフ期の運動障害が改善されます。また「薬剤を減量」できることが薬部療法を続ける上で大きな利点です。

経験が豊富なパーキンソン病治療専門医は、それぞれの患者さんの将来像を予想しながら治療を行っています。病気が進行しても薬物療法で改善できる余地がある場合には特に問題はありません。

しかし、患者さんによっては、薬物の副作用との兼ね合いでさらに薬物を増量できない限界点が数年先に見えることがあります。その時には、患者さんの年齢などを考慮しながら、当センターではDBSについて患者さんや家族にDBSを治療の選択肢として提案します。

過去の経験から、若年で発症しウエアリング・オフ現象が著明で、オン期にはジスキネジアが激しいような方は、視床下核DBSのよい適応と考えています。また、長期にわたり片側性パーキンソニズム(Hoern & Yahr重症度Ⅰ度)で経過し、振戦が主体で他の障害が軽い症例には、視床などを標的にした電気凝固術、もしくはDBSもよい適応となります。

当センターでは、必要に応じてそれぞれの患者さんにDBSの適応判断を行った上で、DBSの経験が豊富で信頼できる脳外科医へ紹介し手術を受けていただきます。

DBS手術後は、植え込んだDBSの刺激条件調整と薬物調整を専門家が行うことが重要となります。当センターでは、両者をDBS調整外来で行いますので、手術後の管理は当センター1か所に通院することで済みます。

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