栄養サポートチーム
NSTとは
Nutrition Support Team=栄養サポートチームの略語。
多職種の医療スタッフがチームを組み、患者様に最もふさわしい方法で栄養状態を良好に保つことを目的とする活動を意味します。
栄養状態が低いとリハビリが進まず、ADL(日常生活動作)の改善はおろか、褥瘡(床ずれ)などを合併することにも繋がり、このような問題を解決するための栄養支援チームがNSTです。
NST回診
当院では入院患者様全てを対象に、毎週水曜日9時30分から回診を行っています。
NST回診
当院NSTの目的
入院される患者様の平均年齢は76歳で半数以上の方が低栄養状態にあります。そして加齢による筋肉・骨・関節などの運動器に支障をきたすロコモーティブシンドロームと、疾患による著しいADL低下で骨格筋量の減少「サルコぺニア」の状態に陥る状態にあります。
医師(Dr)・看護師(Ns)・理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)・管理栄養士のチームで入院時のスクリーニング(栄養状態・褥瘡の有無・必要摂取カロリー・ADL状況・理想体重・筋肉量の状況など)の確認を行い、適切な食事提供の評価を行っています。
当院でのNST基準でスクリーニングを実施後、回診時に栄養状態をチームで検討し患者様に提案した上で、社会復帰を目指した全身管理の一環として栄養改善を行っています。
「NST回診の対象者」
- ① 全ての入院患者様
- ② 看護師と各療法士が「栄養に問題あり」と判断された患者様
- ※ 当院では入院患者様全員の栄養状態がリハビリに適合しているかどうかを詳細に検討することが、患者様にとって重要であると考えています。
医師の役割
- ①疾患に関する詳細な説明や状況判断を求められた時(例、高血圧や心不全などの為、リハビリの進捗を制限する具体的基準と決定。)
- ②投薬の説明。
- ③リハビリの見通し。
看護師(Ns)の役割
- ①疾患や合併症・既往を把握した上での全身状態の観察。
- ②適切な食事内容・摂取状況・食事形態・嚥下状況・ポジショニングの確認。
- ③褥瘡がある場合は改善状況・栄養バランス・補助食品等の提案。
- ④全身状態の悪化の為、食事から遠ざかっていた患者様の口腔内環境の確認。
- ⑤患者様の育ってきた環境や嗜好の状況を把握。
- ⑥入院時の採血データとInbody測定による筋肉・水分・脂肪データのバランスチェック。
- ⑦ストレスや体重減少などの情報収集。
- ⑧当院のNST基準で①~⑦を検討し回診の準備。
Inbody測定
理学療法士(PT)の役割
- ①筋力、持久力、身体測定の評価。
- ②運動負荷量や病棟生活における消費カロリーの把握。
- ③食事を摂る座位姿勢が崩れている場合の確認、調整。
作業療法士(OT)の役割
- ①認知機能、高次脳機能の評価。
- ②食器の配置や自助食器の必要性の評価。
- ③使用用具の持ち手のグリップの太さやスプーンの向き、箸などを工夫してスムーズな食事摂取に繋げていく為のリハビリの実施。
言語聴覚士(ST)の役割
- ①入院患者様全員の食形態を検討。
- ②認知機能の影響の評価。
- ③嗜好による食事内容の検討。
- ④集中して食事がとれる環境設定。
- ⑤嚥下障害の患者様に嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査の検討。
※嚥下内視鏡検査(swallowing videoendoscopy:VE)
内視鏡(ファイバースコープまたは電子内視鏡)を用いて実施する嚥下機能検査。
嚥下内視鏡検査
※嚥下造影検査(swallowing videofluorography:VF)
バリウムなどの造影剤を含んだ模擬食品をX線透視下に嚥下させ、透視像をビデオやDVDに記録し、嚥下運動や食事形態を評価、診断する検査。機能や形態の異常をみるだけでなく、安全に食べる為の条件(摂取時の体位、食物形態など)を見つけ、治療方針の決定に役立っています。
嚥下造影検査
管理栄養士の役割
- ①「今の食事が合っているか」患者様の状態を確認。
- ②病態や必要栄養量に合わせ、嗜好や食べやすい大きさ・量などを考慮した食事・補助食品の提供。
- ③低栄養の患者様が少しでも栄養のある食事が出来る工夫。
- ④患者様が食べやすく、飲みやすいように補助食品を提供。
- ⑤経管栄養(チューブ食)の患者様には嚥下訓練食(口からの食事)の提供。
きざみ食
ソフト食
栄養補助食品